【ありがとう】Artful Dodgers Racing ― 8年間の軌跡と、その終わり

Artful Dodgers Racing の事は度々このブログで取り上げてきました。

僕の個人的な感覚ではありますが、彼らはLCGムーブメントの中で欧州ブランドならではのセンスがひときわ目立っていただけでなく、それが世界的に受け入れられていた数少ない存在だったと感じていました。

そんなArtful Dodgers Racing、実はもうありません。
ということでその件を少し。

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Artful Dodgers Racing 廃業の発表

2025年8月、RCクローラーコミュニティに一つの区切りが訪れました。

LCG(Low Center of Gravity)シャーシメーカーとして知られる、Artful Dodgers Design(Artful Dodgers Racing)が、公式FacebookおよびInstagramなどで、「クリアランスセール」の開始とともに、数週間後にオンラインストアを閉鎖し、Artful Dodgersとしての事業を終了することを発表したんですね。

この投稿は僕も見ていて、「あーー、終わっちゃうのか、でもなんで?」と思ったのを憶えています。それ以来すっかり忘れていたのですが(笑)、最近"そういえば”と思ってチェックしたら既に公式サイトも閉鎖されドメインもなくなっていました。

写真の説明はありません。

2025年8月17日の投稿には

「8年間、私たちと共にいてくれた皆さん、ありがとうございました。
これは素晴らしい旅であり、感動的な冒険でした」

こんな文章が投稿されていました。
そう、これでArtful Dodgersは静かに幕を下ろしたことになります。

Artful Dodgers Racingの始まり

Artful Dodgersは、ポーランド・ワルシャワ近郊の町で誕生しています。

ヨーロッパ系のLCGシャーシメーカーは、2021年前後のLCGムーブメントが急拡大していく中で幾つか誕生していますがそのうちの1つですね。

ちなみにイタリアの3DRAPやハンガーリーのKRAWL(以前はPROCRAWLERというブランド名でした)はまだ健在です。

Artful Dodgersは2017年頃からRC関連の活動を開始したとされ、工業デザイナーとエンジニアのカップルによって運営されていたことが、公式情報や発信内容から推測されます。

ヨーロッパ発のLCGメーカーとして、北米主導のRCクローラー市場とは異なる感性と設計思想を持ち込み、小規模ながらも強い存在感を放つブランドとして認知されていたと思います。

GroundFoxシリーズ ― ブランドを象徴する存在

Artful Dodgersを世界的に知らしめたのが、GroundFoxシリーズです。

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GroundFox v1.2

Element RC Enduro向けのLCGコンバージョンキットとして登場。

スキッドに角度を持たせたアルミ製レール構造、CMS/SOA両対応といった仕様により、Enduroベース車両のジオメトリーを根本から見直す提案となりました。

この時期は、LCGマシンのドナーシャーシというとAXIAL SCX10 II か、ELEMENT ENDUROのほぼ二択みたいな状況だった中、ENDUROの弱点を上手く克服したGroundFOXのコンセプトにとても感心した記憶があります。

また、既存シャーシを活かしながらLCG化するというアプローチは、"LCG"といのニッチ中のニッチなカテゴリーを多くのユーザーにとって身近で現実的な選択肢にさせることに大きく貢献したと思います。もちろんこれ以前から、アメリカ系LCGシャーシメーカーでもそういったコンバージョンキット(セット)は存在していましたけどね。

GroundFox V2.0

2023年に登場した進化版。

アルミ/カーボン製レールの選択肢、ハードウェア一式付属といった構成により、LCGコンバージョンキットとしての完成度をさらに高めた製品。ある意味これが彼らの絶頂期と言えるかもしれません。

Enduro用LCGシャーシの一つの到達点として評価されることも多いと共に、Vanquish VS4-10シャーシ向けのコンバージョンキット版も追加されました。

ちなみに、Artful Dodgersは下記のプラットフォームに対応したキットを発売してきました。

  • Element RC Enduro
  • Axial SCX10 II
  • Vanquish VS4-10 / Phoenix
  • Traxxas TRX-4

FoxBelly ― 発想で差をつけたアクセサリー

FoxBellyは、Stealth Xトランスミッションを90度回転させて搭載するためのトランスミッションマウント。

スパーギア位置を大幅に下げるこの構造は車両全体の重心に直接影響し、LCG化の効果を明確に体感できるパーツとして革新的でした。

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シャーシそのものを交換しなくても、既存車両の性能を引き上げられるという点で、Artful Dodgersの設計思想を象徴する製品と言えると思います。

PATHFINDERとULVトランスミッション

2024年に発表されたPATHFINDER LCGシャーシは、Artful Dodgersの最終世代とも言える存在。

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極端にフロント寄りのスキッド配置を採用し、Vanquish VRDミッション、または独自のULVトランスミッションに対応する設計となっていました。

これは、僕的な感覚としてですが、LCGムーブメントのパンデミックが終焉に向かう兆候として世界的に広まっていた、2010年前後に流行したコンペクローラーのアイデンティティを継承した流れのシャーシレールコンセプトでした。2023-2025年にかけてこの手のジオメトリをしたシャシーがメジャーメーカーや中華の安価品含め、多く登場しました。今でもこっちがもはや主流になっている気がします。

独創的なアクセサリー

Artful Dodgers Racingが残した最大の遺産は、
「ヨーロッパ発でも、アメリカ市場に通用する高品質なLCGシャーシを作れる」
と認知されたことだと思います。

どうしても、「LCGやクローラーはアメリカ製」っていう意識があると思いますが、その辺の概念を変えた、柔らかくしてくれたのが彼らだったと思います。(何度も言いますが、持ってないんですけどねwww)

あと、単なるシャーシフレームの販売に留まらず、トランスミッションマウントのような独創的なアクセサリーによって、既存製品の性能を劇的に引き上げるというアプローチは、意外と唯一無二に近い事やってた気がします。

特に、僕が「おお!」って思ったのは、「Enduro axles steering plates set Enduro Style upgrade Artful Dodgers」って言うパーツで、ENDUROのアクスルの切れ角をアップさせるためのパーツです。

純正のステアリングプレートをちょっと長くしただけのパーツなんですが、それだけでENDUROアクスルの今一歩だった部分が改善される、盲点みたいなパーツでした。これは買おうとしたんですが、在庫がいつも無くて結局変えずじまいで終わりました。

 Enduro Comp Fox Competition Rock Crawler Kit

僕が一番驚いたのがこれ、ELEMENT RCとARTFUL DODGERSがコラボというか共同開発で生み出した、ENDUROのLCGマシンキット。

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ENDUROのポータルアクスルやステルスXFトランスミッション、サスペンションなどはELEMENT製ですが、シャーシレールやミッションマウントなどはARTFUL DODGERSのパーツが採用されています。

ARTFUL DODGERSといえばELEMENT ENDUROなので、こういう製品をELEMENTが発売してきたのは納得と言えば納得ですが、こういう製品バージョンは結構珍しいパターンだと思います。

もしかして、この製品のリリースで何かしらの権利をELEMENTに譲渡したとか?
そんな可能性もあったりして????

ちなみにコチラはELEMENT名義の製品なので今でも入手が可能です。

https://www.amainhobbies.com/element-rc-enduro-comp-fox-competition-1-10-4wd-rock-crawler-kit-asc40129/p1580545

なぜ事業を終えたのか

廃業の理由について、公式な説明はされていません。

恐らく、LCGシャーシ/マシン市場の成熟と競争激化を経て若干の衰退傾向が訪れ、小規模運営による負担、技術的差別化が難しくなった市場環境など、複数の要因が重なったことも可能性としてはあるでしょうが、元々メーカーとして大規模な運営はしていなかったガレージブランド的な感じだったんじゃないかな?という気もするので、潔く退いたって感じかもしれませんね。

そういう場合、元々好きで始めたけど、「ビジネス化して自分が楽しめなくなった」とか、そもそも「自分の趣味が変わった」みたいな、ことも実はあったりすると思います(笑)

いずれも僕の想像に過ぎませんが、LCG系の場合は特に昨今の色々な状況を踏まえるとこうなるのは自然な流れとも受け取れますね。どこまでいってもニッチな趣味&業界なので。

おわりに

ポーランドの小さな町から始まったブランドが、
世界中のRCクローラーに影響を与えたことは事実です。

また、彼らの勝機は、2019年に登場したELEMENT ENDUROに目を付けたことだと僕は思います。

そして、目の付け所が良かった。
センスが良かった。
これはやはり、ヨーロッパ系ならではの感性なのかもしれません。

ありがとう
Artful Dodgers Racing

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